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揺れる想い

このSSは、ガルシアPの企画、『Kaleido/m@ster』(カレイドマスター)への参加作品です。
あらかじめご了承ください。




「わ、わわっ!」
 ……また転んだ。ダンスレッスン用の音楽だけが、スタジオに空しく流れている。これで一体、何回目だろう。床に座り込んでいる春香を見て、今日何度目かのため息をつく。
「春香、今日はダンスレッスンの仕上げのはずよ」
 いつものことと言えば確かにそうだけど、でも今日は、今日に関しては「いつものこと」と笑って済ませるわけにはいかない。今日でダンスレッスンは終わり、来週からは歌のレッスンに入っていく予定だというのに、ここでつまづいていては先に進むこともできない。
「えへへ。ゴメンね、千早ちゃん。もう一回、いいかな?」
 照れ笑いでごまかそうとする春香だけど、その笑いの裏にある事実を看過することはできなかった。
「どうして昨日より動きが悪いの?」
 そう、明らかにおかしい。昨日まで何度も繰り返してきたはずのレッスンで、それも昨日まで出来ていたはずのところで何度も引っかかる。いくら春香とはいえ、これくらいはこなせて当然のはずなのに……。
 問い詰めた私に、春香の口から答えは出ない。そんな態度がまた、私の神経を逆なでする。
「あなたにはプロ意識が足りないのよ!」
 ――いつもそうだ。こうやって春香にきつく当たって、すぐに後悔する。だったら、最初からもっと優しくすればいいのに……。
 お互い、顔を合わせることもできず、ただ空気だけが重くなっていく。その重さに耐えきれず、私はスタジオを後にした。無言の春香を一人、置いて。


 幸いというべきか、休憩所には誰もいなかった。頭を冷やそうと、スポーツドリンクを一本、購入する。取り出し口に落ちてくる音がやけに、大きく響いた気がした。
 わかっている。あんなきつい言い方をしなくてもいいのに……って。でも、春香の動きを見ていると、どうしてもプロとしての姿勢について違和感を……いや、でもパートナーなんだからもっと言いようが……頭の中で、相反する感情が渦巻いてどうしていいかわからなくなる。知らず、またため息が漏れていた。
「あ、いた! 千早さーん」
 思わぬ声に、顔を上げる。果たして、廊下の向こうから小走りで走ってきたのは美希だった。
「千早さん、今日はレッスン午前だけで、午後はフリーだよね?」
 どうしてここに美希が……? いぶかる私に頓着することもなく、隣にすとんと腰を下ろす。
「お昼食べに行こっ! ミキねー、千早さんの為に美味しいお蕎麦屋さん調べて来たの!」
 さらっと語られた「蕎麦屋」というフレーズにひっかかりを感じる。最近蕎麦が気になっているという話をしたのは、確か先日収録したトーク番組の中だけだったはずだ。オンエアは来週だから、その番組を美希が見たはずはない。知る人はほとんどいないはずのそのことを、どうして美希が……?
「美希……その話、誰から聞いたの? 私の今日のスケジュールは?」
 そうだ、そもそも美希が私の今日のスケジュールを知っていることもおかしい。勢い込んで尋ねる私に、美希は少し、驚いたようだった。
「え? 誰って……」
 もちろん、返ってくる名前は、彼女の名前以外、あり得ない。顛末を聞き、得心する。まったく、あの子は……。
「ごめん、美希! 蕎麦屋はまた今度に!」
「え? あ、ちょ、ちょっと、千早さん!」
 後ろから美希の困惑した声が聞こえる。でも、今の私には、申し訳ないけどそれにかまっている余裕はなかった。


 レッスン場に戻り、一番最初に目に入ったのは、床に手をついている彼女の姿だった。かすかに見える頬に光るそれは、大粒の汗、だろうか。
「明け方まで長電話なんて、ダメじゃない」
 多分、私の顔は険しかったと思う。顔を上げた春香の表情が強張る。
「今日はダンスレッスンだって知ってたのよね?」
 そういうスケジュールだとわかっていたはずなのに、どうして夜更かしなんか……そんな、自分の体調も管理できない春香は甘い。甘いと思う。でも――
「だって、美希が『千早さん、千早さん』って嬉しそうにしゃべるから……」
 なんだろう、私を見上げる春香の目は、少し潤んでいるように見えて――
「私だって……」
 千早ちゃんと……そんな声が、聞こえたような気がした。何だろう、胸の奥で――
「……今日の午後のオフ、なしだから」
「え?」
 胸に湧き上がった、得体のしれない感情を振り切るように少し語気を強める。
「今日中にダンスレッスン仕上げるの。四時から、レッスン再開よ」
 携帯取り出して、春香に突きつける。プロデューサーの『予約できた。OK、頑張れ』というメールを見て、彼女の顔にようやく、笑顔が戻る。
「そうだよね。へへ。私、頑張んなきゃ!」
「四時にはプロデューサーも来るわ。それまでは、自由時間よ」
 ポケットから鍵を一つ取り出して、春香に渡す。きょとんとした春香の顔が、なんだろう、少しだけかわいい。
「このフロアのミーティングルームB室、四時まで使えるわ」
 いまだ私の意図が理解できないのか、春香が小首をかしげる。
「仮眠しなさい。三時間でも眠れば、ずっと楽になるから」
「あ……うん!」
 鍵を受け取る春香と、一瞬指が触れあう。大したことじゃないはずなのに、なぜか少し、体温が上がった気がした。
「そ、それじゃあ、また後で」
 そんな自分の感情が妙に気恥しくって、春香に背を向ける。出て行こうとした私の足を止めたのは、ジャージの裾をつかんだ春香の手だった。
「えっとね、千早ちゃん……」
 春香に背を向けたまま、次に続く言葉を、待つ。耳元に、春香の気配を感じた。
「ごめんね、ありがとう。あと……大好きだよ」


原案:ガルシアP


はじめまして、の方ももしかしたら多かったりしますでしょうか。霧島です。
今回は珍しく(?)、人様の企画に首を突っ込んでみました。他の方が提示したシナリオを元に自分の文章を、ということで、なんというか自分が一番得意とするスタイルであろう、登場人物一人称で攻めてみました。しかも、千早の一人称は多分律子の次に書きなれているので、多分キャラの雰囲気を崩しているようなこともないんじゃないか、と思います。
基本、あまり冒険をしないというか、非常にオーソドックスな二次創作のスタイルを取っているので、ひょっとしたらなんというかこう、物足りないと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは諦めててください(笑)
今後もできればこういった企画には首を突っ込んでいきたいな、と考えているので、またどこかでご覧になったら生温かい目で応援していただけるとこれこれ幸いこれ幸い、であります。
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【2010/05/15 13:14】 | SS(もどき含む) | トラックバック(0) | コメント(2)
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コメント

『Kaleido/m@ster』(カレイドマスター) 企画公式サイト、OPENしました。
『揺れる想い』含む15本の作品を掲載しています。
http://garciap.web.fc2.com/kaleido/
ご参加、ありがとうございました。
これを基点として色々な意見交換会を進めたいと思っていますので、
ぜひ、これからもよろしくお願いいたします。
【2010/05/16 10:09】 URL | ガルシアP #MhlNZB0o[ 編集]
今更ではありますが、企画お疲れ様でしたー。
普段、こういう企画に参加する機会があまりないものなんで、中々新鮮でした。
また何か機会がありましたら、是非~
【2010/06/08 20:34】 URL | 霧島義隆 #-[ 編集]

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管理人:霧島義隆

霧島義隆

元765プロ所属、今は律子と一緒に独立してとあるデレマス事務所「律子ぺろぺろの会」代表。気付いたら個人でもS3、事務所もs3。他、アケマス・アイマス2・アイモバ・ミリマスでもアイドルマスターの称号を取ったので自称5冠。ただしミリマスは引退済み。
なんちゃってSS書き。色々こじらせてめんどくさいと言われがち。

口癖は #律子ぺろぺろ
危ないので石は投げないでください。

個人ID:57798220
事務所ID:6698

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