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霧島工房 アイマス同人界の隅っこで蠢くピコ手改めフェム手サークル
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律子オンリー、3年ぶりの単独開催!

初めてのお買い物 その4(最終回)

ここにいたる経緯は、その1 その2 その3あたりを参照すれば、いいんじゃない!?


「律子さんって、普段どういうところで服を買ってるの?」
 まさか、お母さんが買ってきた服をそのまま着てる、なんてことは……いや、でも律子さんならありえる気がする。
「え? えっと……近所のユ二クロが一番多いかな」
「やっぱり……」
 さすがにお母さんセレクションじゃなかったみたいだけど、でもやっぱりなんだかすごく「らしいな」なんて思っちゃう。
「何よその『やっぱり』って」
「だって、律子さんの服っていつ見てもぱっとしないから。律子さんだってアイドルなんだから、もっと普段の服装にも気を配らないと」
「う……こ、これはわざと地味な格好をしているのよ。ほら、私服の時にあまり目立ってファンに囲まれたりしたらまずいでしょ?」
 上ずってる。明らかに律子さんの声が上ずって、目も泳いでる。これは絶対、嘘をついている顔。それくらい、ミキにだってわかる。
「へー……」
「……なによ」
 ちょっとすねたような表情の律子さんが、なんだかとても新鮮に感じる。普段はもっと大人! って感じの表情が多いから。
「さっすが律子さん。やっぱり人気者は違うね。そうだよねー、オフの日にトラブルに巻き込まれるの、嫌だもんねー」
「うっるさい!」
 顔を真っ赤にして律子さんがミキの肩を叩いた。ぼ、暴力はいけないと思うな。
「あいたっ! うー、律子さん、乱暴なのー。っと、こっちこっち」
「え? あ、うん……」
 律子さんとお話しながらだったから危うく通り過ぎるところだった。やっぱりどこか腰が引けている律子さんを引きずるように、お目当ての店へと入った。



「うー……なんだか落ち着かない……」
 まるで隠れるように、律子さんがミキの後ろをついてくる。そんなにびくびくしなくても大丈夫なのに。
「もう。律子さんはお客さんなんだから、もっと堂々としていればいいんだよ」
「そ、そりゃわかってるけど……」
 別にとって食べられるわけでもないのに、店に入っただけでおどおどしている律子さんが隣で見ていてもなんだかすごく面白い。いつもこんな感じだったら、もう少し怒られる回数も減るかな? とか思ってみたり。
「じゃあ……とりあえずこの辺のやつから」
 早速、律子さんに似合いそうでなおかつ今までとは違うイメージの服をチョイスしてみる。サイズは……ミキと大体同じで大丈夫かな。
「とりあえずって……そんないい加減な」
「こういうのは、ぱっと直感で決めるのがいいの。あまりだらだら悩んでも、いい事なんてないよ? ほら、ねっ」
「ぅぅ……気が進まない……」
 そう言いながら、ミキが渡した服を手に律子さんが更衣室へと消えていった。しゅるしゅると響く衣擦れの音を聞いていると、自分のことでもないのになんだかドキドキしてくる。
「律子さん、まだー?」
『せ、急かさないでよ』
「もう着替え終わってるんでしょ? 開けちゃうよ?」
 さっきまでしていた衣擦れの音はしなくなってるからとっくに着替え終わってるはずなのに、なぜか律子さんは出てこようとしない。まったく、いつもはミキのことを遅いとかやる気がないとか言ってるのに、これじゃ立場が逆だよ。
「い、今出るから! ……ど、どうかしら……」
 ようやく更衣室からおずおずと出てきたその様子は、いつものしっかり者でちょっと口うるさい律子さんからは想像ができないくらいおどおどしている。もっと自分に自信を持っていいと思うんだけど。
「おおー……律子さん、すっごいセクシー。やっぱりスタイルいいね」
 うん、やっぱりアイドルをやってるっていうのは伊達じゃないなって思う。普段の地味な格好が嘘みたいに、ばっちりいけてると思うな。
「ちょ、ちょっとやめてよ、そういう言い方……」
 なんだか律子さんの顔が赤くなったような気がする。そんなに恥ずかしがること、ないんじゃないかな。別にけなしているわけじゃないんだし。
「えー? ミキ的にはほめてるつもりなんだけど」
「ぅぅ……でも、こんな露出度の高い服なんて……」
 そう言って、自分のお腹あたりを気にするような素振りを見せる。この程度で露出度が高いなんて、それはいくらなんでも気にしすぎ。
「大丈夫大丈夫、すっごい似合ってるよ。あとは、これをこうやるっと……」
「ちょ、ちょっと美希!」
 前から気になってたんだけど、律子さんのお下げってやっぱりどこか野暮ったい。せっかくこうやって少し挑戦的な服にしているんだから、髪の毛も下ろしてみれば……。
「ほらっ! もう完全に別人だよ」
「ぅぅ……お、落ち着かない……」
 鏡の中に映るこわばった顔は、律子さんだけど律子さんじゃない、そんな感じ。これで眼鏡がなかったら、ミキ的には完璧だと思うんだけどなぁ。
「ねぇねぇ律子さん、やっぱりコンタクトにしようよ」
「それは絶対に嫌」
 きっぱりと、何のためらいもなくそう首を横に振る。うーん、やっぱりそこだけは絶対にうんって言わないか。律子さんのあいでんてぃてぃー、ってやつなのかな?
「つまんないなー。ま、いいや。じゃあ、次いってみよー」
「え? まだ着るの?」
 そう言って、律子さんの表情が凍った。まだも何も、今始まったばかりなのに何を言ってるんだろう。
「あったりまえだよ。まだ一着しか試着してないんだよ? これからこれから」
「か、勘弁してー」
「それじゃ、次はこれね」
 少し涙目になってる律子さんを見てちょっとだけ悪いかなとも思ったけど、でもこれも律子さんをより魅力的にするためだから問題なし! そう思って、律子さんを更衣室に送り込んだ。



「あれ? 買わないの?」
 結局五・六着を試着したところで、「星井美希プロデュース 秋月律子ファッションショー」は無事終了した。律子さん的には無事じゃないのかもしれないけど。
 でも、その「ファッションショー」で着た服を、律子さんはなぜかミキに差し出してきた。
「か、買わないわよ! こんなきわどい服、買っても着る場所がないじゃない」
「こんなの、全然普通だよ? 第一、ステージじゃもっときわどい服を着て歌ってるじゃない」
 一応、律子さんの性格も考えて、挑戦的ではあるけど大人し目のチョイスにしたつもりだったんだけどなぁ。第一、ステージだといつもパンチラを連発している律子さんにとっては、これくらい大したことないはずって思う。
「そ、それは……し、仕事だから」
「うー。でも、せっかく選んだのにー」
 律子さんのためを思って一生懸命コーディネートしてみたのになんだかがっかり。ため息が出ちゃう。
「…………わ、わかったわよ。買うからそんな顔しないで……ただ、全部は勘弁して」
「うん! これで律子さんも、明日から誰もが振り向くいい女、だねっ!」
 やったっ! せっかくいい素材を持ってるんだから、律子さんはもっと輝くべきだよね。
「……別に振り向かなくてもいいわよ……」
 ぼそっと律子さんが何かつぶやいたような気がしたけど……気のせいだよね?

* * *

「あー……なんだか妙に疲れた……」
 まさか、自分がこんな服を買うことになるとは思ってもいなかった。服を買った後も、靴やら鞄やら色々と店を連れまわされて結局上から下まで一式買い揃えることになってしまった。普段入らないような店を周ったせいもあって思った以上に疲れた、というのが実感だ。
「そう? ミキ的には、すごく楽しかったけど。律子さんは楽しくなかった?」
「まぁ……楽しくなかった、といえば嘘になるけどね」
「そっか。よかった」
 無邪気に笑う美希の横顔を見ていると、「ま、いいか」なんて気持ちになってくるから不思議だ。実際、自分のテリトリーとは違う場所に足を踏み入れるのは刺激的で、楽しかったのも事実だった。
「今日買った服、今度ちゃんと着て来てね」
「……事務所には着て行かないわよ」
 今日買った服を事務所に着ていく……プロデューサーや小鳥さん、他の子たちから何を言われるか、それを想像しただけで、その選択はありえないと思わざるを得ない。でも、案の定というか、美希は不満げに眉を寄せた。
「えー? それじゃ、買った意味がないよ」
「そんなこと言ったって……あんな服着て行ったら、みんなから何を言われるか……」
「大丈夫だよ。きっとみんな、『律子さんの新たな魅力』ってやつに気づくと思うな」
 どうだか。まぁ、プロデューサーの反応を見たい気は少しするけど、それだけのために事務所に着ていくのはさすがにちょっと……ごめんこうむりたい。
「気づかなくていいわよ……そんなの」
「でもでも、せっかく買ったんだから着ないともったいないよ?」
「そりゃそうだけど……」
 美希が言うことも一理ある。一理あるけど、自分にだって自分のイメージというか、アイデンティティーというか、そういうものがある。
「じゃあじゃあ、ミキと二人でデートの時は着て来て。約束!」
「う……わかった、そうする」
 デートという単語に関しては、あえて聞かなかったことにしよう……なんて思ってしまうあたり、今日は完全に美希のペースにはまってしまったなぁと改めて感じる。
「やった! それじゃ、早速次のオフにお披露目だね!」
「え? ちょ、ちょっと、そんな話……」
 次のオフ? ちょっと待て、また美希と買い物に行くってこと? そんな話、一言も……
「ミキ、楽しみにしてるね!」
「い、いや……」
 うーん。今日は本当に調子が出ない。どうやら、最後の最後まで美希のペースで終わりそうな感じだ。
 でも……たまにはこれもいいか。
「……わかったわ。その代わり、今度遅刻したらただじゃおかないからね」
「うん!」
 初めてこうやって二人でオフを過ごして、なんだか終始美希のペースに振り回されっぱなしだったけれど、こうやって満面の笑みが見られたのなら、それでよかったかなと改めて思う。
「あー。お腹減った。よし、ラーメン食べに行きましょ、ラーメン」
「えー? 何でラーメン? ちょっとありえないって思うな」
「いいから付き合いなさいって。味は保証するから」
 美希と二人並んでラーメンをすする。いろいろあった一日にはふさわしい締めくくりのような気がして、一人、笑った。

fin


多分、今頃即プロの合宿会場でくだを巻いているか嫁への愛を叫んでいると思われます。霧島です。
というわけで、今年の2月に始まった「お買い物」シリーズ、ことここに至りてよーーーやく、完結いたしました。
いやー……長かったというか、色々な幸運(不幸?)が重ならなければ多分まだ完結していなかったと思われます。

のべらーる作業や冬コミ原稿のために、即プロ原稿が厳しくなる
・某SNSで、ナイザーさんから今回の表紙の線画をもらう
・そういえば、微妙に放置状態だったHPのSSがあったなぁ……
・線画が美希律だなぁ
・この際、仕上げちまうか

こんな感じで。(爆)

個人的なポリシーとしては、HPで公開しているお話を本にするのはできれば避けたかったんですが、まったく新刊がないよりはいいかな、と思ったのと、あと本にするに当たって一応多少加筆・修正も行ったので許してください、と。
一方で、元々がHPから始まったお話なので、HP上でもきちんと完結させておこうということで、今回完結編をアップしております。

さぁ!
はたして律っちゃんは美希にどんな格好をさせられたのか!

そんなMo-Soを、絵にしてくれる人がWEBでも現れてくれたら、うれしいな……(ぉ

というわけで、次は冬コミ!
がんばっていっきまっしょー♪

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とらのあな様にて、絶賛(?)委託販売中!
12/30「コミックマーケット75」(東 ク-01b「霧島工房」)でも、頒布予定
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【2008/11/24 00:00】 | SS(もどき含む) | トラックバック(0) | コメント(0)
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管理人:霧島義隆

霧島義隆

元765プロ所属、今は律子と一緒に独立してとあるデレマス事務所「律子ぺろぺろの会」代表。気付いたら個人でもS3、事務所もs3。他、アケマス・アイマス2・アイモバ・ミリマスでもアイドルマスターの称号を取ったので自称5冠。ただしミリマスは引退済み。
なんちゃってSS書き。色々こじらせてめんどくさいと言われがち。

口癖は #律子ぺろぺろ
危ないので石は投げないでください。

個人ID:57798220
事務所ID:6698

一緒にぺろぺろする方、募集中です。

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